ZINE 印刷・製本ガイド
このツールで作った ZINE を冊子にする方法は4通り(下の A)。
このガイドではそのうち、コンビニ・家庭用プリンターで印刷して手で綴じる手順を、用紙選びから綴じ方までくわしく解説します。
A. 4つの作り方
ここで作った ZINE を冊子にする方法は4通り。手軽なコンビニ印刷から、印刷会社への発注、プロ用ソフトでの清書まで。目的に合わせて選んでください。
01
ネットプリント(コンビニ)
セブン等のマルチコピー機で印刷。「小冊子」モードを選ぶと、1ページずつの PDF を自動で面付けして刷ってくれる。
使う書き出し:印刷PDF(1ページ)
02
家庭用プリンターで両面印刷
自宅のプリンターで両面印刷。面付け機能がない機種でも、このツールが面付け済みの PDF を書き出すので大丈夫。
使う書き出し:面付PDF
03
印刷会社にそのまま発注
ラクスル等のネット印刷に発注。アップロードした PDF を各社が自動でチェック・補正してくれるので、トンボ・塗り足し・CMYK が完璧でなくても、ある程度きれいに刷ってくれる。
使う書き出し:印刷PDF(そのまま入稿)
04
Illustrator / InDesign で清書
ここで決めたレイアウトを下敷きに、Illustrator や InDesign で入稿データを清書。本文を移しやすいよう、テキスト書き出し機能も用意。
使う書き出し:テキスト書き出し(.txt)
サイズ別の用紙対応表(方法 1・2 で印刷するとき)。ZINE のサイズに応じて、使う用紙のサイズも変わります。
A6 だけ特別で、A5 紙が安定して入手できないため A4 にカット位置ガイド付きで印刷します。
| ZINE サイズ | 仕上がり | 使う用紙 | 備考 |
| A4 | A4 冊子 | A3 | 家庭用プリンターでは A3 対応機が必要 |
| B5 | B5 冊子 | B4 | セブンの小冊子モード対応 |
| A5 | A5 冊子 | A4 | もっとも一般的なZINEサイズ |
| B6 | B6 冊子 | B5 | セブンの小冊子モード対応 |
| A6 | A6 冊子(文庫サイズ) | A4(カット必要) | 下のE. A6 ZINEを参照 |
B. ネットプリント印刷のメリット・デメリット
コンビニのネットプリント(ネップリ)は手軽ですが、万能ではありません。
とくに即売会に持ち込むなら、刷る前にこの一覧で向き・不向きを確かめておくと後悔しません。
○メリット
-
締切がイベント当日の朝まで延びる最強
印刷所は1週間前〜最短でも3日前に入稿が必要。ネップリなら当日の朝、会場の最寄り駅のセブンで刷れば間に合う。
-
1部単位で在庫をコントロールできる
「15部刷って持参 → 午前で売り切れたら近くのセブンで10部追撃」が可能。売れ残りリスクを極限まで減らせる。
-
送料ゼロ・自宅に段ボールが届かない
印刷所からの送料(数百〜千円)が浮く。ZINE 制作を内緒にしていても、家に荷物が届かないのは地味な利点。
✕デメリット
-
当日の時間と体力をゴリゴリ削られる
会場近くのコピー機を30分〜1時間占有。紙束を抱えてブースへ入り、開場直前まで折り&ホチキスの重労働。
-
「コンビニで万札が飛ぶ」原価の高さ
24ページ・30部で約 18,000 円をその場で支払い。1冊原価 320 円、500 円で売っても利益は 180 円(印刷所なら原価 200 円)。
-
表紙の紙で勝負できない
全部ふつうの白いコピー用紙。隣のブースがキラキラ紙や厚い高級紙だと見劣りしやすい。
📈 即売会持ち込みの「運命の分岐点」
「意図して」ネップリ持ち込みを選ぶべきかどうかの判断軸です。
| 判断軸 | ネップリが向く | 刷る前に再考 |
売値・ ページ数 |
1冊 500 円以上で売る/利益度外視の自己表現 |
1冊 200〜300 円で手軽に配りたい → 赤字。印刷所で薄利多売 or 全ページモノクロ(原価 140 円)へ |
| 部数 |
20 部未満 ── 折り作業も15分程度、在庫を抱えず身軽 |
30 部以上 ── 印刷代 15,000 円超。折る作業量的にも肉体・精神の限界値 |
※ 金額は「24ページ・カラー表紙」を前提にした例(この仕様でネップリ原価は1冊 320 円)。ページ数・色・部数で原価は変わるので、刷る前に一度試算を。
赤字になりそう/30部を超えそうなら、印刷所も選択肢に。
「入稿データづくりは難しそう」と身構えがちですが、ラクスルをはじめとするネット印刷各社は、アップロードした PDF を自動でチェック・補正してくれます。
トンボや塗り足し、CMYK 変換を完璧に用意できなくても、ある程度はいい感じに整えて刷ってくれるので、最初の一歩はそれほど怖くありません。各社の入稿テンプレートと仕上がりサイズの指定だけ確認すれば大丈夫です。
C. セブンのネットプリント(小冊子モード)でつくる
マルチコピー機で「小冊子」モードを選ぶと、1ページPDFを自動で面付けして印刷してくれます。
自分で面付PDFを用意する必要はなく、「印刷PDF」をそのまま登録します。
STEP 1:印刷PDFを保存する
- 「ZINEをつくろう」のトップバー → 書き出し ▾ → 印刷PDF
- 新しいタブで開いたプレビュー画面で Cmd+P(または右上の印刷ボタン)
- 「送信先」を PDF に保存
- 「詳細設定」で 余白:なし / 背景のグラフィック:オン
- 「保存」してデスクトップに置く
STEP 2:ネットプリントに登録
- www.printing.ne.jp に無料登録(メールアドレスのみ)
- ログイン後「ファイルプリント」→ 保存した PDF をアップロード
- 用紙サイズは ZINE サイズ × 2 を選ぶ(A5 ZINE なら A4、B6 ZINE なら B5)
- カラー or 白黒を選択 → 登録完了で 8 桁のプリント予約番号が発行される
STEP 3:セブンのマルチコピー機で印刷
- マルチコピー機で「プリント」→「ネットプリント」→ 予約番号を入力
- プレビュー画面で 「詳細設定」→「小冊子」 を選ぶ
- 横書きZINE(左開き)→ 「左とじ/上とじ」
- 縦書きZINE(右開き)→ 「右とじ/下とじ」
- 用紙:普通紙(光沢紙より普通紙のほうが折りやすい)
- 支払って印刷実行 → 紙束を受け取る(自動で面付けされ、半分に折れば冊子になる順番)
ポイント:小冊子モードを使うときは 面付PDF ではなく印刷PDF を登録します。
マルチコピー機が自動で面付けしてくれるので、印刷PDF(1ページPDF)で十分です。
D. 家庭用プリンターでつくる
家庭用プリンターには小冊子モードが無いことが多いので、こちらは 「面付PDF」(あらかじめ面付け済み)を使います。
STEP 1:面付PDFを保存する
- 「ZINEをつくろう」のトップバー → 書き出し ▾ → 面付PDF
- Cmd+P → 「送信先」を PDF に保存
- 「詳細設定」で 余白:なし / 背景のグラフィック:オン
STEP 2:プリンターで両面印刷
- プリンターのプロパティで 両面印刷:ON を選ぶ
- とじ位置は 「短辺とじ」 を選択(最重要)
「長辺とじ」だと裏面が上下逆になります。
中綴じ手製本は紙の中央で折るので、短辺(短い辺)で綴じる方向で印刷する必要があります。
Chrome の印刷画面には長辺/短辺の選択肢が出ないこともあり、その場合は印刷後にプリンターのドライバ設定や本体メニューで切り替えます。
- 用紙:仕上がりに合わせたサイズ(A5 ZINE なら A4、B6 ZINE なら B5、A6 ZINE は A4 でカット)
STEP 3:セブンに「面付PDF」を持ち込む場合(小冊子モード非使用)
家庭用プリンターが無い/小冊子モードを使わずに済ませたい場合、面付PDF をネットプリントに登録してそのまま印刷することもできます。
その際、マルチコピー機のプレビュー画面で
「両面:短辺とじ」を選んでください。
E. A6 ZINE は A4 用紙にカット線つきで印刷
A6(文庫サイズ)の ZINE は、本来 A5 用紙に面付け印刷するのが理想ですが、ネットプリントでは A5 が安定して用意されていません。
そのため、ZINEをつくろうでは A6 ZINE のみ A4 用紙にカット位置ガイド付きで出力します。
- A4 用紙の中央に A5 サイズ分(210×148mm)の冊子内容が印刷される
- 周囲にカット位置を示すグレーの細線が入る
- 印刷後、カット線に沿ってカッターと定規で A5 サイズに切り出す(4枚=表裏で2シート分)
- その後、通常通り中央で折ってホチキス留め
カットのコツ:カッター + ステンレス定規 + カッターマットの組み合わせが最も綺麗。ハサミは曲がるので避けます。
カッターは新しい刃に交換しておくと切れ味が違います。
F. 折って・綴じるコツ
折る
- 印刷した紙束を 用紙の上下端にある折り目安マーカー(細いグレーの縦線)が揃うように半分に折る
- 折り目を 定規の背・スプーンの背・ヘラなどでなぞるとシャープになる
- 紙が厚い/枚数が多いときは、1枚ずつ折ってから重ねる
ホチキスで綴じる
- 折った紙束を開き、折り目を上にして机に置く
- 背(折り目の中央)にホチキスを2か所打つ
- 上から3〜4cm、下から3〜4cm の位置がバランスがよい
「中綴じホチキス」が無くても大丈夫。
普通のホチキスでも、本の背の下に消しゴムを敷くと針が綺麗に折り曲がります(机に直接打つと針が裏に貫通してまっすぐにならない)。
紙を開いた状態で背に針を当て、ホチキスを上から押すと、針先が消しゴムに刺さって自然に内側へ折れます。
消しゴムが無い場合は厚紙を4〜5枚重ねたものでも代用できます。
本格派には「中綴じ用ホチキス(マックスのホッチくる)」が便利。
アームが180°回転して、開いた状態の冊子の背を直接綴じられる構造。1冊あたり数秒で綴じられます。
G. もう一歩きれいにするコツ
ページ数は4の倍数に
中綴じは紙を半分に折って重ねる構造なので、総ページ数は 4の倍数でなければ完結しません。
「ZINEをつくろう」は面付PDFを出力するときに自動で末尾に白ページを補完しますが、できれば最初から4の倍数で組むときれいです。
クリープ(飛び出し)を意識する
ページ数が多くなる(24ページ以上)と、内側に綴じられたページが外側より少し外にはみ出します。これをクリープといいます。
気になる場合は仕上げで小口(背の反対側)をまっすぐにカットしてください。
紙質を選ぶ
家庭用プリンターでは普通のコピー用紙よりも、少し厚めの 70〜90g/㎡ の上質紙 がしっかり感が出てきれいです。
セブンのネプリは普通紙のみですが、それでも十分に読みごたえのある仕上がりになります。
フォントは Noto 系を使う
このツールでは Noto Sans JP / Noto Serif JP / Inter が常に PDF に埋め込まれます。
受け手の環境に依存せず同じ字面で表示されるので、印刷物の安定感が増します。